飽き性でもマインドフルネスを楽しく続ける方法 初心者向け簡単ヒント
なぜマインドフルネスは続かないと感じやすいのでしょうか
将来のこと、人間関係、学業のプレッシャーなど、大学生の皆さんは多くの不安や悩みを抱えやすい時期かもしれません。感情の波に流され、心が落ち着かないと感じることも少なくないでしょう。そんな中で「感情をコントロールしたい」「心を穏やかにしたい」と考え、マインドフルネスに興味を持たれた方もいらっしゃると思います。
マインドフルネスは、日々の実践を通じて心の状態を整える効果が期待できるものです。しかし、「始めてみたけれど、なんだかピンとこない」「毎日同じことをするのが飽きてしまう」「忙しくて続ける時間が取れない」と感じ、いつの間にかやめてしまったという経験をお持ちの方もいるかもしれません。
マインドフルネスの実践は、筋トレや楽器の練習と同じように、続けることで少しずつ効果を感じやすくなります。この記事では、「飽き性かも」「なかなか続かない」と感じている方でも、無理なく、そして少しでも楽しくマインドフルネスを続けるための具体的なヒントや工夫をご紹介します。
マインドフルネスの基本的な考え方
まず、マインドフルネスの基本的な考え方を改めて確認しておきましょう。マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、それを評価することなく、ただありのままに観察する」という心の状態やそのための実践方法を指します。
これは特別なことではなく、日常生活で私たちがつい見過ごしてしまいがちな「今、ここ」にある感覚、思考、感情、体の状態などに意識を向ける練習です。過去の後悔や未来への不安にとらわれがちな心を、「今」に戻すことで、心の平穏を取り戻し、感情に振り回されにくくなることを目指します。
大学生がマインドフルネスを続けるメリット
マインドフルネスを継続的に実践することで、皆さんが抱える可能性のある様々な課題に対して良い影響が期待できます。
例えば、脳科学の研究では、マインドフルネス瞑想を続けることで、感情を司る扁桃体(へんとうたい)の活動が変化し、感情的な反応が穏やかになる可能性が示されています。また、集中力や注意力を司る脳の領域が活性化するといった研究結果もあります。
これはつまり、継続的な実践が以下のようなメリットに繋がる可能性を示唆しています。
- 感情のコントロール: 不安やイライラといった強い感情に流されにくくなり、穏やかな心持ちを保ちやすくなる
- ストレス軽減: ストレスの原因となっている状況から少し距離を置いて冷静に観察できるようになる
- 集中力向上: 授業や勉強、読書などに集中しやすくなる
- 不安の軽減: 将来への漠然とした不安など、頭の中でぐるぐる考えることから一時的に離れることができる
- 自己理解: 自分の感情や思考パターンに気づきやすくなり、自分自身をより深く理解できる
これらのメリットを実感するためには、やはり継続が大切になります。しかし、「継続」と聞くと身構えてしまう方もいるかもしれません。大丈夫です。次章では、飽き性だと感じている方でも取り組みやすいヒントをご紹介します。
飽き性でも楽しく続けるための簡単ヒント
「毎日1時間瞑想する」といった完璧な目標を立てると、達成できなかった時に挫折感を味わい、飽きてしまう原因になります。継続のためには、気負わずに、色々な工夫を取り入れることが有効です。
ここでは、飽き性な方や、忙しくて時間が取れない方でも実践しやすいヒントをご紹介します。
1. 完璧を目指さない、短い時間から始める
「毎日きちんとやらなきゃ」と気負う必要はありません。まずは1分、3分といった短い時間から始めてみましょう。歯磨きの最中、電車を待っている間など、スキマ時間を利用するのも良い方法です。完璧にできなくても大丈夫です。中断しても、気づいたらまた意識を「今」に戻せば、それがもうマインドフルネスの実践です。
2. 色々な実践方法を試してみる
マインドフルネスの実践方法は、座って呼吸に意識を向ける瞑想だけではありません。様々な方法を試して、自分が取り組みやすいもの、楽しいと感じるものを見つけてみましょう。
- 呼吸瞑想: 座って、自分の呼吸に意識を向ける。吸う息、吐く息の体の感覚を感じる。
- 食べる瞑想: 食事をゆっくりと、五感を使いながら味わう。色、形、香り、口に入れた時の感触、味に意識を向ける。
- 歩く瞑想: 歩きながら、足の裏が地面に触れる感覚、体の動き、周りの音などに意識を向ける。
- 耳を澄ます瞑想: 目を閉じて、周りの音に意識を向ける。遠くの音、近くの音、聞こえてくる音をただ聞く。
- ボディスキャン瞑想: 体の各部分に順番に意識を向け、その部分の感覚を感じる。
これらの実践方法を日替わりで試してみるのも、飽きを防ぐ良い方法です。
3. 日常生活の中に組み込む
「瞑想する時間を作る」のではなく、すでに習慣になっていることと組み合わせてみましょう。
- 朝起きてすぐに布団の上で1分間呼吸に意識を向ける
- 食事の最初の数口を「食べる瞑想」として丁寧に味わう
- 通学中に歩く瞑想を取り入れる
- 授業の休憩時間に30秒だけ呼吸に意識を向ける
このように、既存の習慣に紐づけることで、新しい習慣として定着しやすくなります。
4. スマートフォンアプリを活用する
大学生の皆さんはデジタルツールに慣れている方が多いでしょう。マインドフルネスの実践をサポートしてくれる様々なスマートフォンアプリがあります。誘導瞑想(ナレーションに合わせて行う瞑想)や、実践時間を記録する機能、様々なテーマ(睡眠、集中力、ストレスなど)に合わせたプログラムなどがあり、一人で取り組むのが難しいと感じる場合に役立ちます。新しいアプリを試してみることも、新鮮さを保つことに繋がるかもしれません。
5. 小さな変化や気づきを記録する
マインドフルネスの実践によって得られた小さな変化や気づきをメモしてみましょう。「今日は少し落ち着いて勉強できた」「イライラしている自分に早く気づけた」「いつもよりご飯がおいしく感じた」など、何でも構いません。記録を振り返ることで、「続けていて良かった」という感覚が得られ、モチベーションの維持に繋がります。
6. 友人や仲間と共有する
もしマインドフルネスに興味のある友人がいれば、一緒に始めてみるのも良いでしょう。実践した感想を話したり、一緒に短い時間だけ実践してみたりすることで、一人では続かないと感じることも乗り越えやすくなります。オンラインで実践仲間を見つける方法もあります。
継続するための心構え
マインドフルネスは「〜できるようになる」というスキル習得とは少し異なります。「今、ここ」に気づき続ける練習であり、思考や感情を「なくす」ことが目的ではありません。実践中に気が散ったり、何も感じなかったりしても、それは失敗ではありません。「あ、気が散ったな」「今は何も感じていないな」と気づくこと自体がマインドフルネスです。
「飽きたな」「今日はやりたくないな」と感じる日があっても、自分を責めないでください。「そう感じているんだな」と、ただその気持ちに気づいてみましょう。そして、もしできるなら、たった1分でも良いので実践してみる。それが難しければ、一度休んで、また明日やれそうな時に再開すれば良いのです。完璧な継続を目指すのではなく、柔軟に、そしてご自身のペースで続けることが何よりも大切です。
まとめ
マインドフルネスは、大学生の皆さんが抱える感情の波や不安、集中力の課題に対して有効な、科学的な根拠に基づいた心のトレーニングです。「飽き性だから続かないかも」と感じている方も、ご紹介したように短い時間から始めたり、様々な方法を試したり、ツールを活用したり、小さな変化に目を向けたりすることで、無理なく楽しく続けることが可能です。
完璧を目指す必要はありません。毎日の生活の中で、少しずつ「今、ここ」に意識を向ける時間を作ってみてください。その小さな積み重ねが、皆さんの感情コントロールを助け、心の平穏を取り戻すための一歩となるでしょう。
ぜひ、今日から一つでも気になるヒントを試してみて、ご自身のペースでマインドフルネスを生活に取り入れてみてください。