マインドフルネス中に思考や評価にとらわれない練習法
マインドフルネス実践中、思考がさまよっても大丈夫
マインドフルネスに挑戦しているあなたは、きっと「今、ここ」に集中しようとしていることと思います。しかし、いざ実践してみると、次から次へと色々な考えが浮かんできたり、「これで合っているのかな」「集中できていないな」と自分自身を評価してしまったりして、なかなかうまくいかないと感じることはありませんか。
これは、マインドフルネスを始めたばかりの方が誰でも経験することです。むしろ、思考がさまよったり、評価が生まれたりするのは、私たちが普段どれだけ頭の中で様々なことを考えているかに気づく自然なプロセスなのです。
この記事では、マインドフルネスの実践中によくある「思考がさまよう」「評価してしまう」という状態がなぜ起こるのか、そしてそれにとらわれずに練習を続けるための具体的な方法を初心者向けに分かりやすく解説します。この記事を読むことで、思考や評価に悩まされることなく、マインドフルネスをより効果的に、そして気楽に続けるヒントが得られるでしょう。
マインドフルネスの基本:気づきとは
マインドフルネスの最も基本的な考え方は、「今、ここ」で起こっていることに、意図的に、評価をせずに注意を向けることです。これは、過去の後悔や未来の不安にとらわれず、今この瞬間の自分の体や心で起きていること、周囲の環境に意識を向ける練習と言えます。
私たちは普段、意識せずとも自動的に様々なことを考えたり、良い・悪いといった判断を下したりしています。マインドフルネスは、こうした心の自動操縦に気づき、少し立ち止まって、目の前の現実に意識的に注意を向ける練習なのです。
なぜ思考はさまよい、評価が生まれるのか
マインドフルネスを始めると、普段は意識していなかった自分の心の動きに気づきやすくなります。そこで多くの人が経験するのが、次のような状態です。
- 思考がさまよう: 瞑想中なのに今日の夕食のこと、明日の予定、過去の出来事などが次々と頭に浮かんでくる。
- 評価が生まれる: 「全然集中できていない」「他の人はもっと上手にできているはずだ」「こんなことして意味があるのかな」といった判断や批判を自分や実践そのものに向けてしまう。
これは、私たちの脳が常に情報を処理し、思考を巡らせるようにできているからです。そして、目の前の出来事や自分自身を評価し、分類しようとするのも自然な心の働きです。マインドフルネスは、こうした働きを「止める」ことではなく、それが「起きていること」に気づく練習なのです。
思考や評価にとらわれないための具体的な練習法
思考が浮かんだり、評価してしまったりすることは自然なことですが、それに「とらわれて」しまうと、マインドフルネスの本来の目的である「今、ここ」への気づきから離れてしまいます。では、どうすればそれらにとらわれずに練習を続けられるのでしょうか。
大切なのは、思考や評価を「敵」と見なしたり、排除しようとしたりしないことです。代わりに、優しくそれに気づき、距離を置く練習をします。
1. 思考に気づく練習:雲を見るように
思考が頭に浮かんだら、「あ、何か考えているな」と気づくだけで十分です。思考の中身に深入りせず、まるで空に浮かぶ雲を眺めるように、その思考がやがて流れていくのを観察するイメージを持ってみましょう。
思考が「自分自身」や「現実」だと強く信じ込むのではなく、「頭の中に浮かんだ一つの考え」として認識する練習です。心の中で「思考だな」「プランニングだな」「過去のことだな」のように優しくラベリングするのも助けになります。
2. 評価に気づき、判断しない練習
自分自身やマインドフルネスの実践に対して「できていない」「つまらない」といった評価が生まれたら、「あ、評価しているな」と気づきます。そして、その評価が良いか悪いかという判断をせずに、ただ「評価という考えが浮かんだ」と受け止めます。
大切なのは、自分を責めないことです。「評価してしまうのは仕方ない」と、ありのままの自分を受け入れましょう。判断しない練習は、マインドフルネスの中心的な要素の一つです。
3. 優しく「今、ここ」に戻る練習
思考や評価に気づいたら、意識を「今、ここ」に戻す練習をします。最も一般的なのは、呼吸に意識を戻すことです。鼻を通る空気の感覚、お腹の膨らみと縮みなど、体の感覚に優しく注意を向け直します。
意識が逸れるたびに、「あ、逸れたな」と気づき、呼吸や体の感覚に注意を戻す。この「逸れて、気づき、戻る」というプロセスこそが、マインドフルネスの練習そのものなのです。何回意識が逸れても、そのたびに根気強く、しかし優しく戻りましょう。
継続のためのヒント:完璧を目指さない
マインドフルネスの実践において、「思考が全く浮かばない状態」や「完全に集中できた状態」をゴールにしてしまうと、かえって苦しくなります。マインドフルネスは、完璧な状態を目指すのではなく、「今、ここで何が起きているか」に気づく力を養う練習です。
思考や評価が生まれても、それは失敗ではありません。それに気づき、「今、ここ」に戻ろうとすること、その試み自体が価値ある実践なのです。短い時間(例えば1分や3分)から始め、毎日続けることの方が、たまに長時間完璧にやろうとするよりも効果的と言われています。
デジタルツールに慣れている方は、マインドフルネスアプリや誘導瞑想の音声ガイドを活用するのも良いでしょう。ガイダンスがあることで、思考がさまよいそうになったときに意識を戻しやすくなります。
まとめ
マインドフルネスを始めたばかりの頃は、思考がさまよったり、自分や実践を評価してしまったりすることはごく自然なことです。これはあなたが「今、ここ」に気づこうと努力している証でもあります。
大切なのは、思考や評価を排除しようとするのではなく、それが「起きていること」に気づき、優しくそれらから距離を置き、「今、ここ」に戻る練習を続けることです。意識が逸れても、そのたびに優しく注意を戻すこと。この繰り返しが、思考や感情に振り回されにくい、穏やかな心を育むことに繋がります。
完璧を目指さず、数分でも良いので毎日少しずつ練習を続けてみてください。きっと、心の余裕が生まれ、感情の波を穏やかに乗りこなせるようになることを実感できるでしょう。